和紙コラム vol.3お正月と和紙〜しつらえ・おもてなし〜
株式会社WACCA JAPAN 森崎真弓
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こんにちは、WACCA JAPAN(ワッカジャパン)の森崎です。
早くも12 月…まもなくお正月。1年が経つのはあっという間ですね。
和紙コラム3 回目のテーマは「お正月と和紙」。
一年の穢れを払い清めるお正月に、清純な和紙は欠かせない存在。神棚の紙垂(しで)、鏡餅の敷紙、書き初めの半紙のほか、ぽち袋や箸袋など、和紙を身近に目にする機会が最も多い季節です。
和紙好きの私は、おせち料理は買って済ませてしまう時も、箸袋やお年玉包みなどは毎年手ずから折包みます。年末の忙しさを一瞬忘れ、心地よい緊張感を感じながら和紙と向き合う楽しいひとときです。市販品の華やかなものを選んで買い求める楽しさもありますが、シンプルな白い和紙でお正月のしつらえを整えるのは、また違ったよさがあります。新年に和紙を使う目的は「穢れを払い清めること」。華美な装飾はなくてもよい、簡素なものでよいのです。
いくつか、私流の簡単・シンプルなお正月のしつらえをご紹介いたします。
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まずは松かざり。若松を和紙で包み、水引で片輪に結ぶだけ。写真は風合いのある厚手の手漉き和紙を使って包んだものです。しめかざりと門松を兼ねた、私流のごくごくシンプルな松かざりです。
右の写真は松と稲穂を和紙で包んで麻で結んだもの。和洋どちらの空間にも合う松飾りです。
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若松を包んだ残りの和紙で、ちょっと遊び心のあるぽち袋も作ってみました。
糊付けする前に松葉を差し込んで、本物の松葉熨斗付きのぽち袋に。生の松葉をそのまま使うので、作るのは大晦日の夜。フレッシュなうちに手渡します。
ぽち袋は毎年、いろいろな和紙でいろいろな形状に作って楽しんでいます。
そして元日のおせち料理に欠かせない、祝い箸のための箸袋。
箸袋のルーツは、熊笹や柏の葉などの抗菌作用があるといわれる植物の葉にあります。衛生的に食事ができるように御敷に葉を添えていたのが、のちに和紙で代用されるようになりました。つまり、箸袋のもっとも重要な役割はお箸を清潔に保つこと。白い清らかな和紙で、家族それぞれの健康と幸せを願いながら折ります。赤い和紙を合わせて折ったり、南天の実を添えたりと、アレンジするのも手作りの楽しさ。
ここでひとつ、急な来客時にも役立つ半紙でつくる箸袋の折り方をご紹介します。
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【半紙でつくる箸袋】
(1)半紙を半分に折る。
(2)左側からお好みの幅で3つに折り、残した右側も折る。
※和装と同じように、右前になるように折ります。
(3)上部の左右を三角形に内側に折り込む。
(4)下部を後ろへ折り込む。
(5)完成。箸袋の幅・長さはお好みでどうぞ。
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半紙のほか、懐紙やA4 サイズにカットされた和紙などでも箸袋を作ることができます。
折り始める前には手を洗い、清潔なテーブルの上で作業してくださいね。
箸袋や松かざりなどは地域で独特の習わしもあります。手作りする時にはその歴史由来を調べてみて、うまく取り入れてみるとよいと思います。
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そして最後にもうひとつ。
友禅紙は、お正月向きのおめでたい文様デザインのものが豊富にありますので、お年賀ギフトのラッピングには最適。手土産のワインや日本酒を包むと、開栓するまでの間、テーブルを華やかに演出してくれます。また、和紙は薄手でもハリがあり、形状が崩れにくくラッピングしやすいものが多いです。
おせち料理も美味しいものが気軽に買える時代になりましたが、手作りされる方も少なくありません。自分の好みに合わせてアレンジできるのが手作りの良さ。お正月のしつらえもぜひ「わたしらしく」「わたしのお気に入りの和紙」で楽しんでみてください。
和紙コラム、3 回目までお読みくださりありがとうございました。
どうぞよいお年をお迎えくださいませ。
来年もコラムは続きます。
新年1月は「お手紙」についてのおはなしを予定しております。