和紙コラム vol.2暮らしのなかで〜お手入れや保存にひと役〜

株式会社WACCA JAPAN 森崎真弓

こんにちは、WACCA JAPAN(ワッカジャパン)の森崎です。
和紙コラム第2回目は「和紙の実用的な活用術」についてお話させていただきます。

その前に…クイズです。
「和紙が洋紙とちがう点はなんでしょう?」

これ、案外難しいクイズなのです(笑)。デザイナーや印刷関連の方など紙のプロにもこの問題を投げかけてみましたが、なかなかぴったり明確な答えが出てきません。

「日本で作っている紙」
「昔ながらの原料の紙」
「手漉きで作っている紙」

上の3つがよく出てくる回答なのですが、残念ながらすべて不正解です。海外で作られた「和紙」も存在しますし、原料にも規定はありません。機械抄きの和紙ももちろんたくさんあります。
ではその答えは…
“繊維が絡み合い、空気層を多く含むこと”です。
※例外もあります

ぎゅっと繊維を押し固めて作る洋紙に対し、和紙は繊維を水の中で揺り動かし、布を織り上げるように結束させていきます。その工程で繊維と繊維の間にすきまができ、ふんわりと空気を含んだ紙に仕上がるのです。
下の写真をご覧ください。これは紙をちぎったところを20倍の顕微鏡で見た様子です。左が洋紙(一般的なメモ帳の紙)、右が楮の和紙です。違いが明確です。

洋紙(一般的なメモ帳の紙)洋紙(一般的なメモ帳の紙)
楮の和紙楮の和紙

繊維の長さの違いもありますが、右の楮紙は繊維が絡み合い、層になっているのが見えます。同じ木材パルプを原料とした場合でも、和紙を抄紙する時はゆっくりのスピードでゆらしを加えながら繊維を織るようにして空気層を作っていきます。
これによって“通気性がよく、しなやかで丈夫”といった、和紙ならではの特徴が生まれ、私たちの暮らしの中の色々な場面で役立ってくれているのです。
例えば、和服の保管に。和服は和紙のたとうに包んでから、箪笥に納めて保管されます。
雛人形などの保管にも和紙が使われていますよね。私は手漉きのちょっといい和紙でお人形の頭や衣装の房部分、お道具類を包んで保管しています。

また、漆器や陶器、ガラスコップなどを重ねる時に、間紙として和紙を使うのも◎。私は以前はキッチンペーパーを挟んでいたのですが、和紙のほうが長持ちしますし見た目もよいので、カットした余りなどを活用しています。

そして、私が最もおすすめしたい和紙活用法は、サシェ(匂い袋)です。
ハーブにエッセンシャルオイル(精油)を混ぜて、和紙で包むだけでできるサシェ。
布のように縫う手間もなく、用途に合わせて好きなかたちに折り包むだけで、素敵なサシェになります。和紙の通気性と美しさの両方を活かした、楽しめる活用術です。

作り方の手順をご説明しますね。

①お好きな和紙を用意する(半紙ぐらいのサイズがあればOK)
②お好きなドライハーブと精油を用意する
③ハーブに精油を数滴たらし、よく混ぜてからお茶パックに入れる
④和紙でお好きな形に包む。完成!

上の写真のタイプはご祝儀袋のたとうのように左、右に包み天地を折ってリボンで留めています。紐やフックをつければ、ハンガーに吊るしたり、ドアノブにかけてルームフレグランスとして楽しむこともできます。
中身のハーブは一度お茶パックに入れてから和紙で包むと安心です。厚手の和紙でも十分に香りを楽しめますよ。

石けんをそのまま和紙で包んでサシェとして使う方法も。この巾着タイプは私が実際にクローゼットの引き出しの中で使用しているものです。ちり入り楮紙を元結(和紙のひも)で結んだだけの簡単なサシェですが、長く愛用しています。

和紙のサシェは車の中で使うのもおすすめ。車の中の匂いが気になる時や、集中して運転したい時に好みの香りを車内に持ち込むのには最適です。
また、軽く丸めた和紙に精油を数滴たらして即席アロマディフューザーとして活用することも。程よく香りを楽しむことができます。

和紙はティッシュペーパーや不織布などの製造技術に結びつく、有能な機能紙でもあるのです。
生活の中に上手に取り入れて、楽しんでみてくださいね。


株式会社WACCA JAPAN

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