和紙コラム vol.5障子のリメイク〜インテリアで和紙を楽しむ〜
株式会社WACCA JAPAN 森崎真弓
こんにちは、WACCA JAPAN(ワッカジャパン)の森崎です。
5回目の和紙コラムは「インテリアと和紙」についてお話したいと思います。
「インテリアと和紙」といえば、障子やふすま、ランプシェードなど和のインテリア空間に和紙が多用されているのはどなたでも思い浮ぶほど、密接な関係です。ですが、残念ながら現在では和室のある住宅も減り、室内空間で和紙に触れる機会は減ってきています。
日本へ製紙技術が伝えられた韓国でも、かつては内装に紙(韓紙)が多用されていたそうです。下の写真は韓国のソウルにある宮殿、昌徳宮(チャンドックン)に保存されている建築物の内部の様子ですが、建具のみならず、床や壁、天井まで紙が使われていて、床はさらさらとして清潔感のある心地よい空間でした。
和紙は湿度で伸び縮みする柔軟性があり、日本建築の構造体である木材とも相性がよく、すぐれた建築資材でした。また保温性も高く、断熱材としての役割も果たしていました。
また、障子やふすまなどの建具は、非常に軽く、女性ひとりでも付け外しの作業ができます。季節で建具を変えたり、建具を外して大広間を作ったり…和紙はそんなフレキシブルな日本建築の様式を支える重要な役目を担っていたのです。
現代の高気密なマンションでは、和紙の機能性のすべては発揮できませんが、自然素材であり、見た目にも心が落ち着く美しい和紙を、インテリアから排除してしまうのはもったいないことです。
今回はもっとも気軽に取り入れられる「障子」の楽しみ方を一例としてご紹介したいと思います。
さて…
障子が気軽??確かに張るだけだけど、そもそも上手に張るのが難しい!
と思われた方もいるのでは…かつての私がそまさにそうでした。昔、障子を張り替えた時、紙はヨレヨレ、仕上がりはシワシワ…のとても悲しい出来栄えでした。こんなことを1年に1回繰り返すなんてうんざり…と思い、それから一度もトライした事がありませんでした。
和紙マニア?!となった今、気がついたのです。上質な和紙は簡単に張ることができること、そして毎年張り替える必要はないことに…
安い障子紙は、原料のほとんどが木材パルプです。糊の水分が入ると、もろく弱くなっていきます。
さっと張れば問題ないのですが、ぐずぐず直しているうちに破れたりシワができてしまいます。アイロンをかけるだけで接着できるタイプのものも市販されていますが、こちらは乾燥した状態で張るためか、慣れていないとやはり皺ができてしまいます。
一方、楮や三椏などの昔ながらの上質な和紙は、水分を含むと伸び、乾くと最初の状態より縮む性質があるため、素人の私が張ってもピンと美しく仕上がってくれます。
また、よい和紙は黄ばみも出ず1年毎に張り替える必要もなく、むしろその逆に日光に当たることで白さが増していきます。丈夫で張りやすく長持ちして美しい。上質な和紙はコストパフォーマンスがとてもよいのです。
今回は上の写真のように障子の枠横一列分の幅で張っていきます。列の数だけ張るので、手間はかかりますが、1枚ずつが小さいので修正がしやすく簡単に張ることができます。また、一部分だけを破いてしまった時にもその列だけ張り替えることもできます。
骨組みに糊をつけて、巻いた和紙の端を合わせたら、開いていき張り付けます。
張った直後はきれいに張れたのか不安に思いますが、乾くとピンとします。
完成です!
今回は石州和紙、韓紙、小川和紙の3 種を使いました。どれも未晒の手漉き楮紙ですが、それぞれに表情が異なりシンプルながら趣のある障子になりました。透過光の障子紙の美しさは、見ていて飽きません。今回使用した紙は障子用に漉かれた紙ではなく、厚みもそれぞれです。組み合わせを考えるのはとても楽しい作業です。障子の張り替えを先延ばしにしていた方、ぜひトライしてみてくださいね!