小津和紙 紙漉き体験リポート
小津和紙 手漉き和紙体験工房
日本橋の小津和紙は1653年(365年前!)に小津清左衛門長弘によって創業した和紙専門店。そこに手漉き和紙の体験工房があることを知り、「Kizuki.Japan」編集部では取材と体験にうかがった。
5月24日14:00 小津和紙到着。手漉き和紙体験工房は入口を入るとすぐ正面にあった。紙漉き体験の前に、担当の高木さんから店内を案内していただく。3Fの和紙の展示スペースには各地の和紙や和紙を使った作品が展示してある。こちらでプロの職人たちの動画を見ることができ、紙漉き体験前にイメージをつかむことも可能だ。また史料館もあり、江戸時代の大福帳や多くの文書類が展示してある。貴重な史料なので、時間があればぜひ見学することをお勧めしたい。
さて、いよいよ紙漉き体験。もう一人のスタッフ田中さんに実演を見せていただく。そして用意されている防水エプロンを着けて、漉き舟(水槽)の前に立つ。反対側に高木さんが立ち、マンツーマンで教わる。A4サイズの和紙を漉くためA4より一回り大きなスゲタ(簀桁)を高木さんのやるように垂直に沈める。漉き舟の水の中には和紙の原料のコウゾとネリ(粘りのある液・トロロアオイ)が溶かしてある。それをスゲタですくって、まずサッと流し縁に貯まった液を捨てる。次に同じようにスゲタですくい前後に20回揺する。残った液は捨てて、もう一度すくい、今度は左右に20回。さらにもう一度すくって、前後に20回。最後、スゲタですくって、揺らさずにサッと捨てる。これできれいに漉けていたら、スゲタから和紙を取り出し余分な水分を飛ばす。
高木さんのいう通り、やってみるがすぐにスゲタの中で和紙がよれてしまう。これではダメと何度かやりなおす。ポイントはスゲタを水槽に入れる角度。90度を守って入れること。もう一つのポイントは余分な液を捨てるとき。勢いをつけると漉けている和紙がはがれてしまう。また捨てるとき、あまりゆっくりやると和紙がよれて、シワになってしまう。3回ぐらいでできるかと思っていたが、意外に難しい。いろいろと考えすぎるとダメなようだ。7〜8回やって、ようやくきれいに漉けた。(1回でできる人もいる!)
水分を飛ばした和紙を乾燥機に貼りつけて、ハケでシワを伸ばしていく。5分くらいで乾く。そうすればできあがりだ。記念にスタンプやエンボスを押して終了。高木さん、田中さん、ご指導ありがとうございました。
この紙漉き体験は10年前ぐらいから行っている。その目的は、お客様に和紙に興味を持っていただくためとのこと。体験されたお客様は3歳から105歳までとバラエティーに富んでおり、半分は外国の方だそうだ。最近は修学旅行や大学のサークル、主婦のグループも増えており、手軽な日本文化体験として外資系企業の接待にも使われている。また、体験者の中には和紙作りのおもしろさに気づき、プロの道を選び、和紙の産地で修業している方もいるという。
和紙に興味を持たれた方、日本の文化に触れてみたい方には、都内の便利な場所にあるので利用しやすい。インバウンドが注目するのももっともな、価値ある施設だと感じた。
小津和紙 手漉き和紙体験工房
〒103-0023
東京都中央区日本橋本町3-6-2
体験工房直通:090-4842-0139