自分の思いを和紙の可能性に賭けてみる

ARATA 中村裕也氏

 ご実家は、京都市内で和綴じの製本や御朱印帳、掛け軸、美術館などで展示する古い書物のレプリカ制作など、和紙関連のお仕事をされている中村裕也氏。なぜ、和紙アクセサリーを作るようになったのだろうか。
 「実家の手伝いをしているうちに、手漉き和紙の需要がどんどん少なくなっていることを知り、自分でも何かできればと思っていました。ファッションに興味があったのですが、和紙を使って洋服を作るにはあまりにも知識や経験が無い。手先は器用なので、和紙を使ったアクセサリーもいいかなと思い、2008年ぐらいから家業を手伝いながら開発を始めました」

女性はかわいいものを見つけると、ほっておけない

 その後、中村氏は女性にターゲットを絞り、女性がかわいくなるもの、美しくなるものを和紙で表現できたらと考えて創作を続ける。手づくり市やアートイベントで、若い女性も手頃な価格で購入できるアクセサリーを出してみると、その反響は上々。
 「自分の考えていたことや思っていることが形になって受け入れられるか、和紙のアクセサリーが成り立つのか、その反応を探っていました。そういったイベントに出ているうちに百貨店のバイヤーさんからも声がかかりました。よろこんで出展はしたものの、展示の仕方やいろいろなノウハウがありません。恥ずかしい思いもしました」
 それでも買ってくれるお客様はいたし、可能性は感じた。やがて手づくり市から百貨店の展示即売会にシフトしていく。そんな中、取扱店を開拓するため2013年からファッションとデザインの合同展示会「rooms」に出展を始める。

※アッシュ・ペー・フランス株式会社が主催するファッションとアクセサリーデザインの合同展示会。約600のブランドが衣類や装飾品、地場産品を展示する。内外のデザイナー、バイヤー、ショップに強い影響力を持つ。

和紙で作られたアクセサリーのパーツ和紙で作られたアクセサリーのパーツ

海外での和紙アクセサリーデビュー

 「『rooms』でも東北の震災後、日本の地場産業の取り扱いが増えていました。タイミング的にも良かったようです。それから私の作ったアクセサリーを取り扱ってくれるお店が徐々に増えてきました」
 「rooms」への出展がターニングポイントになったのか、京都市主催の第1回「京ものユースコンペティション」でグランプリを受賞。海外のブランドにはオリジナル擬革紙の卸を開始。そして、今度はニューヨークSOHOのギャラリーでデビューした。ファッション関係の人が集まるエリアで、何かのきっかけから新しい動きが生まれるかもしれない。

ARATAの和紙アクセサリーARATAの和紙アクセサリー

直営店は京都だけにして、根を広げていきたい

 これからも、サイトでの情報発信、デパートでの展示即売会、ギャラリーでの展示などをコツコツ積み重ねながら、和紙アクセサリーのファンの根を広げていく。
 「いろいろとお店を持つことは考えていません。直営店は京都だけでいい。拡大方向に走るのではなく、できたらギャラリーで個展を開き、じっくりと見てもらいたいですね」
 自分だけの空間でおしゃれな人たちを相手に、自分の作るアクセサリーをじっくりと見てもらい、良いと思ってくれる人を増やしたいとのこと。トレンドを追うのではなく、それが、自分の感性を大切にしていく中村氏のやり方でもある。

京都の直営店 ARATA aterier & shop京都の直営店 ARATA aterier & shop

ARATAの和紙アクセサリーとは

 軽さとやさしい風合いを持つARATAの和紙アクセサリーは、800年以上の歴史を持つ京都黒谷の手漉き和紙が使われ、独自技法の立体成型により生まれる。水や汗に強い独自の特殊コーティングに加え、防水・撥油・防汚コーティングも施しており、日常からドレスアップまでさまざまなシーンで安心して使用できる。


中村裕也

中村裕也

1981年京都府宇治市生まれ。
家業である寺社仏閣の和紙製品の製造に8年間従事した後、手漉き和紙の価値と技術と伝統を後世に残すため、和紙アクセサリーの道へ。
2013年、ARATAとして独立。


直営店 ARATA atelier & shop(予約制)

  • 〒604-8812
  • 京都府京都市中京区壬生相合町13 ナカミチアトリエ201
  • Tel / Fax:075-777-2475
  • http://www.arata-kyoto.com/
  1. この記事を
  2. シェアする
  3. ツイートする
  4. LINEで送る
jaen