伝統的な水引が、東京でおしゃれなアクセサリーやアートに!

東京水引 中村江美氏

 水引といえば、普通、祝い事や金封などでお馴染みの“飾り紐でできた結び”を連想する。それが最近は、アクセサリーやインテリア小物に生まれ変わっているようだ。どのような経緯で、またどのような発想から水引が変身していったのか、水引作家の中村江美氏にお話をうかがった。

何気なく曲げたり、折ったりしているとカタチとなった

 「最初はある仕事で商業施設の美術造形を考えていました。アートパネルの依頼がきたので、どういう素材でつくろうかと考えていた時、たまたま水引という素材に気づき、軽くて色もたくさんあることがわかりました。そこで調達してつくってみたのですが、そのアートパネルは採用されませんでした。大量の水引が残ってしまったので、何か他に使えないかと考えたのです」
 東京水引は、もともとケントチャップマンという店舗の装飾やインテリア、オリジナル製品を開発する会社の仕事から偶然に生まれ、今やケントチャップマンの事業のひとつとして成長した。
 「結び方を調べてやってみると意外と上手くできました。それから伝統的な結び方に独学を組み合わせて、いろいろとつくってきました。それが5~6年前、東京水引というブランドにしたのは2年くらい前です」
 水引は和紙を細く撚って紐状にしたもので、レーヨンや蒸着フィルムを巻いたものもあり、曲げたり結んだり自由自在に細工できる。やってみるとほとんど道具を使わず、指先だけで精巧なアクセサリーやインテリア小物がつくれた。

水引の色は200色以上水引の色は200色以上

ワークショップで子どもも大人も水引を楽しむ

 普段はさまざまな業務に使われているケントチャップマンの工房「QOOCAN」。使っていないときにここで何をしようかと考えて思いついたのが、水引のワークショップだった。
 「どうせやるなら、子どもも大人も楽しめて、身につけられるアクセサリーがいいと思いました」
 開催は不定期だが、何度も通う人、全国各地から参加する人がいる。もちろん海外からの参加者もいた。
 「ワークショップは2時間程度。初めての方でも、アクセサリーを仕上げることができます。今まで1000人以上の方が参加されましたが、できなかった方はいませんでした。誰でもできる、道具も使わず楽しめる。だから、癒しの時間だとおっしゃる方もいました」

デッサンもなく、思うままにつくっていく

 水引のアクセサリーが簡単につくれることは、ワークショップでも明らか。だが、もっと大きなもの、例えばティアラやインテリアのランプシェードはどのような工程でつくられるのだろうか。
  「アクセサリー用の水引の結びは形や大きさにもよりますが、早いものだと1~2分ででき上がります。つくる前にデッサンとかはしません。思うがまま、やりながら考えていくといった感じ。大きなものでも同じです。もちろん時間はかかりますが…」

  水引は1度曲げたらなかなか直せないが、だからこそ最初からあまり出来上がりのイメージを固めずに、自由につくっていくことで創作性を生むことができるのだろう。大量生産には向かないし機械では無理。複雑なものになると、全く同じものをつくることは難しいという。まさにつくる人のオリジナリティが問われる世界といえる。

来て、見て楽しめるようなギャラリー兼店舗に

 今の店舗に移って3年。男性客や家族で来るお客さんも増えた。今はアクセサリーだけでなく、箸置きや一輪挿し、グラスホルダー、ランプシェードなどのインテリア小物、アートパネルやパーティションなどの大きなものも手掛けている。
 「海外で料理を教えている方が水引の箸置きを使って、お箸の代わりにナイフやフォークのセッティングをしているといった話もお聞きしました。また、海外の方には日本の伝統工芸として繊細さが受けているようです」
 金や銀、また鮮やかな色彩のさまざまな作品は、一見金属のようにも見えるし、その実大変軽い。だから、持ち運びもラクなので海外へのお土産としても喜ばれている。
 「水引とビーズやボタンなどのさまざまな素材を組み合わせて、新たな作品を考えています。動物をモチーフにしたものも楽しみながらつくっています。これからは来店された方が見て、選んで、楽しむようなギャラリーのようにしていきたいと思っています」

 水引は古来、人と人を結ぶものとされてきた。21世紀の混沌としている今、この思いを持つ水引を世界に発信していくことは大変意味があると感じる。それも、かわいさと遊び心、さらに自由という世界共通の価値観を身にまとって。

店舗内にはアクセサリーや小物が並ぶ店舗内にはアクセサリーや小物が並ぶ

中村江美 東京水引主宰デザイナー

中村江美 東京水引主宰デザイナー

2017年より水引のもつ美しさに魅了され、自身の表現の基本素材として制作活動をスタート。アクセサリーはもちろん、照明シェード、パーテーションなどの大物作品にも取り組む。また、日本橋三越や台場ヴィーナスフォートなど、空間演出分野のものづくりも手掛けている。さまざまなメディアで作品とともに紹介されている。


東京水引

東京目黒にある東京水引のギャラリーでは、その場で作品を確かめながら、お好みの作品をお選びいただくことができます。

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