特別なときだけの和紙ではなく、インテリアとして、ふだん使いにして欲しい

出羽和紙 高橋朋子氏

芸術の里に工房を設けて

 秋田空港にほど近い秋田市雄和。この水と緑ゆたかな丘陵地帯で、和紙作りをしている高橋朋子氏。
 「工房を開設したのは2007年。西ノ内での修業を終えて秋田に戻ってきたのが2002年だから、ここに着くのに4年以上かかってしまいました。その間は、市内の公共施設を借りて、買ってきた原料を漉いたり、親方のところから持ってきた紙を崩して漉き直したり。和紙を漉くにはなにより水が大切ですから、秋田市内できれいな湧き水の出る所を探して、やっと和紙作りに打ち込める環境が整いました」
 近所には、陶芸の方が二人、油絵を描く画家が一人。他にも何人か創作活動をされている方もいて、地元の商工会が「芸術の里かわべゆうわ」と名付けて、グループ展など、さまざまなイベントを企画してくれている。

芸術の里の案内看板ご近所には画家と陶芸家も
グループ展の会場入口取材時、ちょうどグループ展が開かれていた

和紙との出会いと修業時代

 秋田で生まれ育ち、大学卒業後は4年半会社勤めをしていた高橋氏。たまたま駅前のギャラリーで見かけた「キャンドルと和紙」というテーマの展示会に惹かれて、その出展者である西ノ内和紙の菊池正氣氏に、弟子にしてほしいと頼み込んだ。
「親方の工房では、和紙の柔らかな風合いや素材感を生活に取り入れるために、装飾品として使ったり、雑貨や小物を作ったりしていました。自分もそういうことがしてみたい。そして秋田には、和紙を作る人が殆どいないので、地元で和紙を漉いてみたい。だから2年間と時間を限って、修業させて欲しい、と頼んだのです」  親方は、尋ねれば親切に教えてくれる方だったが、それでも感覚的なことは自分で考えて、覚えるしかない。修業中は2年間で和紙作りの全てを覚えなくては、と必死だった。

会場の和紙展示。衝立、はがき、コースターなど
会場の和紙展示。ランプシェード

グループ展の会場にて

和紙を売る、という課題

 秋田に戻ってからは、それまで和紙を作ることに精一杯だったので、売り方に試行錯誤した。
「売れる、と思っていたものが売れなかったり、こんなものが?と思える端切れが売れたり・・・。たとえば、素材としての和紙の場合、個人的にはカラフルな紙が好きなのですが、コウゾ100%の生成りの紙も好きなんです。古くから続いているものなので、私も作り続けていきたい。だけどそういう紙を求める方は少なく、最終的には、求められないモノは、作り続けることができないんです。だから、家の中、今の生活の中で、どうやったら和紙を取り入れてもらえるのか、をいつも考えて作っています」

会場の和紙展示。テーブルクロス、タペストリーなど
会場の和紙展示。招き猫やふくろうたち

現代の生活に合った和紙づくり

 よくお客様から言われるのは、「和紙をどのように使ったらいいの?」という質問だという。「はがきや便箋などでお便りを書く」「大事な方へのプレゼントを包む」…これらは、昔から知られる和紙の素敵な使い方だが、メールや通販で挨拶・贈答が済んでしまう現代では、「改まった/特別なとき」の用途ではないか。高橋氏は、「特別なとき」だけでなく、より身近に和紙を感じてもらえるよう、インテリアの一部として和紙を提案することに力を入れている。
「いま作っているものでは、コースター、ランチョンマット、タペストリーなど。花瓶を置くマットや置物の招き猫、ペーパーウエイトなどにも挑戦しています」
 子育てと並行しながらの創作活動で、なかなか時間の全てを和紙づくりに費やせないもどかしさもあるというが、若い世代があまりいないこの伝統を守り継承するため、あせらず、やれることを続けていきたい、と結んでくれた。

 


高橋朋子

高橋朋子

秋田県生まれ。会社員時代にギャラリーで見た和紙に魅了され、西ノ内和紙の菊地正氣氏に弟子入りを志願。何度か断られながらも入門を許され、2000年より2年間みっちりと修業。以後秋田市内で、水のよい場所を探しながら紙漉きを続け、2007年4月、秋田市雄和に工房を開設。「出羽(いでは)和紙」という名称を掲げて、伝統の技とオリジナル性を合わせた、暮らしの中に生かせる和紙製品づくりを続けている。


出羽和紙

  • 〒010-1211
  • 秋田市雄和椿川字館の下125
  • 営業時間
    12:00〜17:00(土日は12:00〜15:00)
  • 定休日
    水曜日
  • TEL
    018-886-8910
  • FAX
    018-886-8910
  • http://www.naba-net.co.jp/idehawashi/
出羽和紙
出羽和紙
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